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相続について その4  相続人以外に財産を残したい時

-遺贈と生前贈与- 前回の記事で「相続人」についてご説明しました。 例えば子は相続人となります。子が死亡していれば代襲相続といって孫が相続人となり ます。逆に言えば子が存命であれば孫は相続人ではありません。 また、子の配偶者も相続人ではありません。 遺言がない場合、法定相続人以外は被相続人の財産を受け取ることはできません。 こういった相続人以外にも財産を残したい場合、遺言を書いて遺贈することになります 。 また、亡くなる前から孫や子の配偶者に生前贈与をしておくことも考えられます。 生前贈与と遺贈の共通点として気を付けなければならない点は贈与税です。 ただし、贈与税は一年間に110万円までは非課税です。 だからといって毎年決まった時期に110万円ずつ生前贈与をすると、税務署の方から贈 与税逃れのためではないかと調査が入り、課税されることがあります。 相続税を減らしたいということで生前贈与をする方は少なくないのですが、毎年同時期 に同額ではなく、贈与したい人の事情に合わせて「何のためにいつ、いくら贈与したか」 を説明できるようにしておくのは良い方法です。 生前贈与は遺贈と違って一方的な意思表示ではなく「あげましょう」「受け取りましょ う」という「契約」なので「贈与契約書」を作成すれば万全でしょう。 もう一つは、毎年110万円以内贈与するのではなく、110万円を超える贈与をして申告の 上、贈与税を納める年を作ることで、税務署にも立派な証拠が残ることになり、これも確 実な方法です。 遺贈の場合課税されるのは、一見贈与税のように思われがちですが、相続税となります 。 そして、相続税の基礎控除額は、【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】で計算 されますが、遺贈の場合受遺者(財産を受け取る人)は法定相続人ではないので、この600万 円に乗ずる人数に加算されません。 遺贈の場合注意すべき点としては「遺留分」があります。 「遺留分」とは法定相続人がその相続割合の半分までは請求できるという制度です。 例えば配偶者は相続財産の2分の1、子は3人いた場合残り2分の1の3分の1ずつ、つまり6 分の1ずつ相続する権利がありますが、遺贈をすると相続財産が減ってしまいます。そこ で遺言に納得がいかない場合、この例の子であれば6分の1の半分、つまり12分の1までは 請求でき、正当な理由なく請求を拒むことはできません。 ここで注意すべきは遺留分の請求は権利であって義務ではないということです。 遺言で「なぜ遺贈するのか」を説き起こして、ご自身の意思が実現するように書きまと めることが必要となります。 また、遺言執行者の指定も必要になりますが、これは別項とします。